コンサルタント紹介インタビュー
「海外人事部門がより専門性の高い組織になっていく事をお手伝いしたい」(西本)
「自分しか処理できる人がいないとお悩みの担当者の方のお役に立ちたい」(安藤)
——お二人はサービスの立ち上げ時から携わっていますが、まず当時の状況を教えてください。
西本:当時のパソナの社長から、アメリカで提供していた日系企業駐在員のグロスアップ計算や給与・現地納税関連サービスを他の国にも展開するよう指示された事がきっかけです。ちょうど私が15年勤めていたアメリカの会計事務所を辞めて日本に帰国するタイミングで、最初は私一人でスタートしました。 日本で本社海外人事担当者の話を聞いてみると、どの会社でも知識が不十分ななか手探りで業務をされていてとても大変そうでした。その中でも経費承認などの比較的定型的と思える業務に忙殺されていて、なかなか制度設計などのコア業務に着手できないとの事だったので、経費精算の承認代行をお手伝いできないかと思い、事業化に踏みきりました。
安藤:私は、中国で働いていた時に支店の経理業務を担当していた時期があり、その時に駐在員とローカル社員の処遇制度や社内処理の仕組みが違うという事を経験から理解していたんです。事業化の当時は(株)パソナグループ国際業務室という海外拠点の経営管理を行う部署にいて、社会保険労務士の資格を活かして海外勤務規程コンサルティングサービスも兼務していたので、経理業務の実務経験と日本本社としての視点を活かせる、という事でオペレーション担当としてこの事業に加わりました。
——サービス構築で大変だったのはどんなことでしたか?
西本:提案に行くと、複数のお客様から『本当にできるんですか?』と聞かれました(笑)つまり、それほど海外人事業務は入り組んでいて、一般的な事務の感覚でのアウトソーシングなんて成立しないんじゃないかと疑われていたわけです。
安藤:私は、経費承認代行サービスはできる、と思っていました。ただ、海外人事規程を読み込むだけでなく実際に承認する時の解釈の仕方まで理解する必要があって、一通の経費申請書がどう承認されるのか、なぜこの払い戻し金額になるのかに至る考え方をまず自分の中で言語化し、クライアントの担当者や自社のオペレーションメンバーとすり合わせていく作業が大変でした。また、会社によって規程の行間をどう読むかが大きく異なるので、その点も明確にトレースできるようにしていきました。
西本:着手してみて驚いたのは、経費承認の判断基準が想像以上に属人化していた事です。担当者によって経費の承認/否認の判断が異なり、かつその経緯がどこにも記録されていない、という事も多く、担当者ご自身も駐在員に十分な説明ができず信頼関係を損ねてしまう事に悩んでいらっしゃいました。
安藤:担当者のお悩みは切実でしたね。自分しか処理できる人がいないのでなかなか休暇が取れない方、大きな会社では地域ごとに処理の仕方が違い、取りまとめの方法に苦慮されている方など、様々でしたので、何とかお役に立ちたいと逆に気合が入りました(笑)
——サービス導入された企業のほとんどが、海外勤務規程の改訂や企画プロジェクトへの参加など、制度の改善に踏み込めていますね。また、部内配置の最適化等、担当変更のフットワークも上がっているようです。
西本:大変ありがたく、素晴らしい変化だと思います。飛躍的な業務改善を遂げられたお客様の共通点は、『このような場合はどうしたらよいでしょうか?』『こんな業務もパソナで対応できませんか?』と相談してくださる事です。従来の処理をそのまま外部化するだけでは効率化は道半ばなのですが、一方、特に税務や他国の制度に関連する問題はどうしても作業の要否の判断が難しいと思うので、私たちに相談して頂く事で、どこまでを制度としてやらなくてはいけないのか、どこからが会社ごとの決めの問題なのかを明確にし、現実的な着地点を模索して頂く事ができます。私たちは専門領域と業務処理の橋渡し役になれたらいいなと思っているんです。
安藤:運用実績がどんどん増えていく中で、各社様に対して従来と異なる視点で指摘や提案ができる事は私たちの大きな強みになっており、喜んで頂ける事は本当に嬉しいです。日々のオペレーションで意識している事は、可能な限り各社様の業務フローに沿った業務スケジュールやフローを尊重する事、また、リスクがない範囲で急なご依頼にもなるべく柔軟にご協力するよう努めています。こちらが杓子定規な運用に拘る事によって、外部化したのに楽にならないなんて本末転倒ですし、ちょっとした事も頼んで頂ける事で、担当者の皆様にとってより心強い存在になれたら何よりですので。一方、あくまでも最終目標は『業務そのものの効率化』だと思っているので、この業務はこのやり方でなければいけないのか、そもそもこの業務は必要なのか等、改善につながるご提案を主体的に行う事もサービスの一つだと思っています。
——今後の海外人事業務に対してどのような想いを持っていますか。
西本:海外人事部門がより専門性の高い組織になっていく事をお手伝いしたいですね。サービスを立ち上げた時は『海外人事業務は内製で行うもの』という考えの会社も多く、属人化に疑問を持つ先進的な担当者がご自身で色々調べて私たちを見つけてくださる事がほとんどでした。しかしここ数年でグローバル展開はさらに加速し、複雑さも増してくるなか、これまでやや受け身のスタイルだった海外人事部門も制度、ひいては自社の在り方について見直しを迫られ、自ら考え動かざるを得なくなってきました。その機運はひしひしと感じます(笑)制度を変えるのは私たちにはできない、その会社の海外人事担当の皆様にしかできないので、安心して取り組んでいけるよう、私たちはお手伝いさせて頂きたいです。
安藤:よりオペレーションに近い目線で言うと、たとえ2,3年で担当変更する前提であったとしても、その期間に担当者の方々がより駐在員の皆様と細やかにコミュニケーションが取れるようになって、必要なら現地への視察などももっとできるようになると、グローバル制度の充実に寄与できるだけでなく、会社そのものへのエンゲージメントもさらに上がっていくのかなと。そこをしっかり支えられる存在になりたいです。
——今、パソナ 海外人事業務BPOサービスの導入を検討中の海外人事担当者にメッセージをお願いします。
西本:各国の税法や給与関連に加え国内では働き方改革など、頭の痛い問題はたくさんありますが、一緒に一つ一つ問題を解決していきましょう。
安藤:タイムリーな話題で言えば、2020年のコロナ禍においても、私たちはオペレーションを止めることなくサービスを提供する事ができました。これからのwithコロナ時代の働き方という点からも、一緒にいいお仕事をしていきたい、と思っています。